のんびりホワイトデート8

2012.05.15 *Tue
「あ、雨やんでる」

傘を差そうとした彼が、空いた出口から外をのぞき込んで一言。

「あ、本当だね」
「結夏、ちょっと今、残念だったでしょ(笑)」

「え?何で?」
「”また相合傘が出来ると思ったのにぃ。”って思ってたでしょ(笑)」
「あはは、バレちゃった?(笑)」
「全部お見通しですよ(笑)」

彼からピンクの傘を受け取ってたたみながら、笑って。

「でも、いいの。そしたら、今度は手が繋げるもん(笑)」
「あはは、ポジティブだね(笑)」
「私は幸せ上手なのです(笑)」
「なるほど(笑)」

そう言って、彼と手を繋ぐとまっすぐ駅を目指して歩きました。
今回は駅から近かったので、少しゆっくりめに歩いても、あっという間でした。

もう少し駅でおしゃべりしていたい気もしていたけど、
帰る時間もあるし、離れたくないのは一緒で。

あまり考える余裕があると、もやもやしそうだったけど、
いつもと同じように来た電車にそのまま乗って、
手を振りました。

今回渡した「クジラの彼」(有川浩)を読む結夏の彼のことを
思い浮かべながら、電車に揺られて1時間。

携帯から早速、小説の感想を送ってくれる彼に何となくホッとして
幕を閉じた3月のホワイトデートでした。


(おしまい)
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のんびりホワイトデート7

2012.05.15 *Tue
「今日はいつもよりのんびり楽しめた気がするね」
「そうだね(^-^*)」

2人の声は壁に反響しながらも、絶え間ない水音が
少しそれをかき消しているためか、
お互いの耳に届く声は少しくぐもっていて。

「次、逢えるまでに少しかかるよね」
「・・・うん」

彼が腕を動かすと、それに合わせて水音もバシャバシャと響いて。
水中で身を寄せ合うと、心まで溶けそうになるのが不思議。

のぼせそうな頭では何も考えられなくて、黙って彼の胸に体を預けていた結夏。
ただ、もう少しこのままくっついていたくて。
離れたくなかったのです。

それから、ポツポツ他愛もない話をして、だんだん頬が上気してきた頃、
一瞬の間が空いた、その瞬間に。

「もうあがろうっか」
「うん」

何となく2人とも分かっていたタイミングを、彼が絶妙の間合いで
示してくれたのが、ありがたかったのです。

ほんの少しだけ切ないような気もしたけど、
今回はゆっくり過ごせたからか、何となくすっきりした気分で
湯気の向こうの彼と目を合わせて、にっこり。

「はい」
「ありがとう」

「ふふ」
「え?なになに?」

「今はさ、こうやってタオルを渡した時もいちいち”ありがとう”とか言ってるけど、
 その内、何も言わなくなって、さらに進むと、
 ”え?何?(タオル)取ってもらえるとでも思ってたの?そんなの自分で取りなよ”
 とか冷たく言われるんだよ(笑)」


「「えー、そんなのやだー!(笑)。お願いだから、取ってよぉ(笑)」
「あはは、冗談だよ(笑)」
「もぉ、怖いよ〜(笑)」

そんな軽口を交わしながら、あっという間に上着を羽織って。

おいで、と手を広げる彼の腕の中に小走りで飛び込んで行って、
ぎゅぅ。

そして、やさしくキス。

何も言わなくても2人の動きは滑らかで、
時々、お互いの視線を合わせるだけで、どんどん進み、
気がつくと2人を運ぶ小さな箱のボタンを押していたのでした。


(つづく)
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のんびりホワイトデート6

2012.05.10 *Thu
ご飯を仲良く並んで食べて、チョコレートももぐもぐして、
一緒にお酒を飲んで、ほろ酔いになって。

「ダーリンって一緒に飲んでても、私みたいにすごーく酔ったりしないよね(笑)。いいなぁ(笑)」
「結夏は、いつもふにゃふにゃになってるよね(笑)」
「うん(笑)。 ダーリンとだと安心してるから、いっぱい酔っちゃう(笑)
 私だって、外で飲む時は全然酔わないで、ちゃんとシャキッとしてますよ?(笑)」

「心配だなぁ(笑)」
「本当だよぉ(笑)」
「それならいいけど(笑)」

「ダーリンの酔ってるところも見てみたーい」
「いつかその内、見れるよ(笑)」
「うふふ」

彼にぴったりくっついて、そんなおしゃべりをしながら、

「あ、、、そこ、いい・・・」
「気持ちいい?ここは?」
「うん、、、あ、すごくいいよ・・・」
「今度は反対。ね、どう?」
「こっちもいいなぁ・・・」

そして、ふと思い出して。

「あ、そうだ!今度は全身ね(笑)」

彼の背中に乗って、素肌をやさしく撫でるように、時には重みを加えるように、
マッサージ。

「結夏もやってあげようか?」
「うんうん♪やって〜」

「・・・・あっ、、、声が出ちゃう。。。(笑)。すごい、、、肩こり治りそう・・・(笑)。」

彼はとっても上手なので、彼にやってもらうとすごーく全身が楽になります。
お互いにマッサージして、お互いの手に癒された午後なのでした。


(つづく)
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のんびりホワイトデート5

2012.04.27 *Fri
2人の体温と吐息でほどよくあたたまったベッド。

その中で、心地よい疲れに身を任せて寄り添っていると、
睡魔がやさしく2人を手招きします。

「結夏、ちょっと眠たい?」
「うん」

話したい気持ちと、このまま彼の腕枕で眠ってしまいたい誘惑とが戦いながら、
でも、二言、三言交わしているうちに、いつの間にか
まぶたが下りてきてしまったようです。

ほんの10分くらい眠って、また彼の顔を見ると、
彼はうとうととまどろんでいただけの様子。

いつもなら、結夏もそれが出来るのですが、何故かこの日は出来なくて。

「寝てもいいよ」
彼のやさしい囁きに甘えたくなって、そのまま目を閉じて。
「・・・うん・・・」

驚くくらい深く眠ってしまって、気が付いたらかなりの時間が経っていました。

「結夏、今日はいっぱい寝てたね」
「ごめんね、なんか気持ち良くて寝ちゃった」
「ううん、いいよ。僕も一緒に寝てたし」
「どれくらい寝てた?1時間くらいかな?」
「うん、それくらいじゃないかな」

それから少しぼそぼそと話をしていると、だんだん目が覚めてきて。

「お、やっぱり1時間くらいだったよ。そろそろご飯食べようか」
時計を見た彼が、ちょうどお昼だよと教えてくれて。
「うん!」

「今日は、まだこんな時間だよ。のんびりしてていいねぇ」
「うんうん。こういうのんびりもいいね♪」

彼の隣でぐっすり眠れて、まだデートの時間がたくさんあることに
にこにこしながら、頭を寄せ合ってお昼のメニューを選ぶ2人なのでした。


(つづく)
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のんびりホワイトデート4

2012.04.27 *Fri
いつものように、というお決まりが「飽き」に繋がってしまうことも
もしかしたらあるのかもしれませんが、デートのお決まりだったら、
結夏はドキドキです。

もうすぐ彼と視線が絡まる予感、もうすぐ彼に触れられる予感、
もうすぐ2人の唇が近づく予感。

毎回、胸の鼓動が高まって、お決まりの場所が近づくたび、
甘い予感でいっぱいになります。

エレベーターに乗って、2人の顔がゆっくり離れると、
「いつも長いキスばっかりって思ってるでしょ?短いのも出来るんだよ(笑)」
とおどけたように彼が言って、唇をついばむような・・・

ちゅっ。

一瞬の、短いキス。

ふいうちの2回目のキスはまるで唇を奪われたようで、
急に恥ずかしくなって、頬が火照りました。

そのこともあって、いつもより少し照れながら上着を脱いでいると、
「どうしたの?」

と聞く彼にそっと引き寄せられながら、
頬だけでなく、体までもが火照っていくのを感じました。

(つづく)
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